開校後の課題について考える3

🔶学校規模について🔶

皆さんは以下の小学校としてのの学校規模のどれが望ましいと思いますか?

1,1クラス20人前後 

 学校全体で100~200人(学年1~2クラス)


2,1クラス40人以下

 学校全体で12~18学級(学年2~3クラス)


3,1クラス35人以下 ※1

 学校全体で12学級以上(学年2クラス以上)


4,1クラス35人以下 ※1

 学校全体で18~24学級(学年3~4クラス)


これはそれぞれあるところの学校の”適正規模”として出されている基準です。

1はOECD(世界)の平均(2013年)

2は文科省(国)の定める基準(2015年)

3は茨城県(県)の基準(2008年)

4がつくば市(市)の基準(2014年)

です。


つくば市の学校適正配置の指針(※2)をみてみると、

小規模な学校等には、メリットもありますが学校の活力の維持や学習効果の面でデメリットもあります。教育・学習環境を向上させるためには、学校規模の基準化を図る必要があり…
学校は、子どもたちの社会性の育成やお互いに切磋琢磨する場として一定の規模が必要です。小さすぎず・大きすぎずの基準規模の学校を…

と教育環境の充実、学習意欲の向上、教育活動の充実などのために基準規模にする必要があると言っています。


では、つくば市の基準は?と言うと

つくば市においては、よりよい教育活動の活性化を図るため、学級規模が「1学年40人以下」で、学校規模が小学校においては「学級数18~24学級(学年3~4学級)」、中学校においては「学級数12~15学級(学年4~5学級)」 -中略ー 施設一体型小中一貫校については、各学年の学級数が3~5学級となる学校を『基準規模校』とします。

と国の基準よりも大きなものが効果的であるとしています。


本当にそうなのでしょうか?

国の定める学校適正規模12~18クラスについて手引き(※3)では

多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨することを通じて一人一人の資質や能力を伸ばしていくという学校の特質を踏まえ、小・中学校では一定の集団規模が確保されていることが望ましい

と書かれています。

しかし、この基準には教育学的根拠がないことは文科省も認めているそうです。※4


一方、OECDの国々の中では20人前後の少人数学級、

100~200人の学校が多くなっているようです。

また、WHO(世界保健機関)では100人を上回らない規模の学校が望ましいとしています。


日本でも、学力テストで上位にランキングする秋田県が

1クラス30人程度の少人数学級での教育を行っていることなどから

小規模学級について学習成果や研究が盛んに行われるようになっています。


国内の少人数教育に関する研究(※5)をみてみると、

確かにクラスの人数が少人数である方が

学力が高くなる傾向にあるようです。

しかし、家庭環境や地域性、

規模の大きな学校に指導力のある教員が配置されやすいなど指導レベルによる影響もあるため

簡単に小規模だから学力が高くなるとは言えないようです。


しかし、少人数学級や小規模校では

学校に対する帰属意識や愛着心が高く

連帯感を感じやすい、授業や学校に対して積極的に関わるといった

自ら動き、参加する意識が高まることがわかっています。


一方、学校規模が大きくなると、

「学校規模は、学力に対して有意ではない。しかし、学校規模が1000人を超えると、たとえ、学区が社会経済的に豊かであったとしても、学校規模は学力に対してマイナスに作用する。」

といった研究結果(※6)があるように、

学校運営上、大人数の子どもたちを統率するために制度が必要になり、

子どもは管理される対象となるため

自立する意識を持ちにくい、意欲が低下する、

学力の低い子どもの成績が悪くなるなどの面があるようです。


では、そういった研究を含め新しい学校の問題となる点は

どのようなものがあるか考えてみると、

🔸いじめが解決しにくくなる。※7

🔸学力の低い子の成績が悪くなる。

🔸自発的に学校に関わり、自ら考え行動しなくなる。

🔸教員の一人にかける時間が少なくなる。

🔸学区の広さに対して教員の数が少なくなることで、危険への目が届きにくく、対応が遅れる。

🔸学校が大きくなり、小中の教員の間で連絡調整が必要になるなど、教員が多忙になることで子どもへ向き合う時間が減る。

🔸学校、保護者と地域との間に距離ができるため、地域との連絡、調整が難しくなる。

🔸人数が増えることや、6歳~15歳までが一緒に生活することで運動場を使うことにも調整が必要になる。

🔸運動会や授業参観など保護者が学校に集まる時の駐車場がない。

などが上げれれるのではないでしょうか。


教職員の数は学校、学級規模で決まってしまうため、

地域が学校運営の手助けをする仕組みや、

家庭でのフォローなどの工夫を考える必要があるのではないかと思います。



※1について

茨城県独自の学級規模で、1年生は全国で35人学級ですが、2年生~中1(29年度から中2まで)は35人を超える学級が3クラス以上になる場合に1クラス増える。35人超えが2クラスの場合は非常勤講師を配置するもの


※7 

いじめには人数の多さは関係なく起きるときには起きるという報告があります。ただし、解決するためには教員にどれだけの余裕があるのか?が重要になります。学級の人数が多くなる分、教員のいじめ解決にかけられる時間は少なくなります。

筑波まる環の会

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