開校後の課題について考える2
🔶学校統廃合と地域の問題🔶
秀峰筑波が市内の他の学校と違う点は、
施設一体型の小中一貫校としての側面の他に
統廃合によってできる学校である点があります。
茨城県の統廃合後の調査によると
🔵閉校した学校の祭りや三世代交流等の行事がなくなり、子どもたちと地域の方の交流がなくなった。
🔵閉校になった地域コミュニティに活気がなくなった。
などが報告されています。
筑波地区には神社、地域、小学校が一緒に行う お祭りやイベントがあります。
筑波山神社の春秋のお座替わりや、飯名神社の初午、
蚕影山神社の例大祭、多気太郎、北条復興盆踊りなどなど、
小学校単位で地域の子どもたちが
自分たちにつながる歴史や文化と授業などを通して触れあい、
参加してきました。
しかし、秀峰筑波となると 7小学校の子どもが混ざり合って生活するため、
どこかの地区の祭りだからといって
学校から一部の子どもだけが抜けるには 特別な仕組みがなければなりません。
もし、子どもたちが学校ということで祭りに参加できなくなれば、
ゆくゆくはその祭りを受け継いでいく人がいなくなり、
祭り自体が無くなることになるでしょう。
いままでの運動会では近くのお年寄りも遊びに来ていましたが、
それも難しくなり、スクールバスでの通学や、
地区の学校から子どもたちの声が消えるなど、
子どものいない家庭では、
地域に子どもの存在を感じることが少なくなります。
日常的に子どもの存在を感じられなくなると、
地域の子どもへの関心も低下します。
今まで自然と子どもを見守ることにつながっていた
草刈りやゴミ拾い、不審者への警戒や、
危険個所への対応などの低下になりかねません。
実際に統廃合を経験した地域の声として
国立教育政策研究所の調査報告
「学校統廃合における地域住民への統合効果に関する考察」から
統廃合賛成派の中心人物だった人に
統廃合の4年後にインタビューしたものを抜き出します。
「統合したことで、(新学区全体のことを)見ざるを得なかったっていう感じがします。
今まで、よその地域(旧学区)のことまでは、あまり考えたことがなかったというか、
そういう必要があまりなかった。
だけど、統合したら年寄りはそっぽを向く、子どもはわがんねえ(知らない子どもが増えた)、
これからの地域(の運営)はどうすんだということで、問題が次々と出てきた。
でも、学校は(地域のこと)知りません、役場は協議会作っから、そっちでやってけろ、
我々地域(住民)は何から手をつければいいか何も分がんねえ、という(状態だった)。」
「新しい学校で、地域(旧学区それぞれ)の行事の線引きされて、
それで(統合校の姿勢を目の当たりにして)、地域(住民)の思いってのが、
すごく否定されたような印象を受けたんです。
だから、伝統をそのまま残すってのが難しかったとしても、それで切り捨ててしまうと、
地域住民は(学校から)離れる。だから、もう少し、地域の人達に配慮した考えがそういう時(統合時)は必要だと思います。」
「統合してからすぐに目についたのが、まずは年寄りの態度が変わったなってことでした。
『もう、おらの学校じゃねえ』って、けっこうあからさまで。
『いや、婆様の孫もあそこさ通ってるべ』って言っても、
『いや、知らねえ所(学校)だ』っていう。
今まで学校と一緒にやってた地域の行事が線引きされたので、
そのことが特に溝を生んだような感じがしました。」と語られています。
では、つくば市の教育委員会は統廃合後の地域について
どのくらい影響があると想定しているのかというと、
平成26年に出された学校等適正配置計画という指針を出した時のパブリックコメントで、
🔵過疎部のコミュニティ存続の要としての小中学校存続は大事である、小中学校が廃止予定になる地区での街づくりはどうなるだろうと疑問に感じる
🔵農村地帯のコミュニティーの崩壊を危惧する。などという意見に対して、
🔴本計画(指針)の基本的な考え方として、学校が望ましい学習環境を保つために必要な規模を学校の基準規模として設定しました。児童生徒にとって最適な教育環境を提供することの意義と効果につきましては、計画(指針)に記載されたとおりですが、実施する際には、ご意見を参考にさせていただきます。
と書いてあるだけです。
教育効果の為に学校を適正規模にするというだけで、廃校後に地域がどうなるかは考慮されていないことがよくわかります。(この指針については次回の学校規模で詳しく書きます)
新しい学校は地域から離れた場所に通うことになり、一学年の人数が多くなることになりますが、
自分の育つ街歩きや、田植え、芋ほりなどのイベントは変わらずにできるのでしょうか?
2020年度からセンター試験が廃止され、マークシートの他に記述式で
「自ら問題を発見し、答えや新しい価値を生み出す力」が問われるようになることからわかるように、単純な学力ではなく、自立的で発想力のある人材が求められています。
しかし、最近ではSNSの影響によりフィルターバブルという自分の好みに合う情報しか
触れ合うことができない現象や、 LINEなど閉鎖された環境でのコミュニケーションに
多くの時間がとられていること、核家族化などが原因となり、幅広い世代と触れ合う機会が減り、
多様な意見と触れ合う機会が減っていると言えます。
私たち北部の学校事情を見てみましょう。
もう統廃合は決定されているので、
上記のような先人の話から 何を学んで生かすかが、重要になります。
つくば市旧筑波町地区は、現在過疎化少子化が進んでいます。
ただ、地域に根差した学校を廃校にし、 遠くはなれた場所に学校を移動し開校しただけでは、
子どもたちは自分の地元地区の魅力を知らずに育ち、
地域の人や、伝統(祭り慣習)から遠ざかり、地元愛が育たぬまま、
成人したら地区から流出してしまうようになってしまうのではないでしょうか。
北部の各小学校中学校は、今まで地域に根差し、地域に見守られ、地域とともにありました。
どうにか統合後も、地域と子供たちの繋がりを切らずに教育に生かしていけないでしょうか。
そして、新しい学校で教育を受けながら地元の地域の方々と触れ合い、繋がり、
見守って頂きながら、育っていくような、そんな方法がないか、
これから地域としても、考えなければならない問題です。
テストの点が良ければ生きていける世の中ではありません。
豊かな人間関係、子ども同士だけではなく、多世代で触れ合う機会、
自然豊かな北部地域の環境を生かした体験経験、
そして、日々の学びで学習もしながら、人として生きていける心技体を鍛える学校施設に
新しい学校をしていって頂きたいと思っています。
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